JAL(日本航空)は、ロシアのアエロフロート・ロシア航空と包括的業務提携に合意したことを2017年11月27日に発表した。今後、2018年度以降に両者が運航する成田~モスクワ線及び両社の国内線などでコードシェア便を実施し、将来的にマイレージ提携や共同事業の検討も進めていく予定となっている。
JALの再上場から5年が過ぎ、新規就航や投資などの制限がなくなった4月以降、インドのビスタラ、ベトナムのベトジェット、ハワイアン航空、アエロメヒコ航空に続き、アエロフロート・ロシア航空との提携を発表した。アエロメヒコに続いて、今回もスカイチーム加盟航空会社との提携となった。
ワンワールドは13社しかなく、更なるネットワーク強化にスカイチームも含めた提携を加速
スカイチームを含む提携に積極的な背景には、JALが加盟する「ワンワールド」加盟航空会社が、エア・ベルリンの消滅もあり、現在では13しかない。それに対してANAが加盟するスターアライアンスは28と加盟航空会社数はダブルスコア以上になっている。ハワイアン航空などアライアンスに加盟していない日本就航の航空会社は限られている中、日本の航空会社が加盟していない「スカイチーム」との連携を強化することで、ANAに対抗する体制を整えている公算が高い。
以前からスカイチーム加盟航空会社とコードシェア便やマイレージ提携を行なっているが、現在スカイチーム加盟航空会社の20社のうち日本には13社が乗り入れている。JAL・ANAの提携状況は以下となっている。
■スカイチーム、日本乗り入れ航空会社の日系航空会社との提携状況
アエロフロート・ロシア航空:2018年度以降にJALと提携予定
アエロメヒコ航空:2018年度以降にJALと提携予定
エールフランス航空:JALとマイル提携(日本路線の割引運賃は対象外)
アリタリア-イタリア航空:なし
チャイナエアライン:JALとコードシェア便提携
中国東方航空:JALとコードシェア便提携
中国南方航空:JALとコードシェア便提携
デルタ航空:マイルをスカイマーク便(上級会員・クレジットカード会員のみ)の特典航空券に交換可能
ガルーダ・インドネシア航空:ANAとコードシェア便とマイル提携
KLMオランダ航空:なし
大韓航空:JALとコードシェア便と特典航空券提携
ベトナム航空:ANAとコードシェア便とマイル提携
アモイ航空:なし
13社のうち、ANA2社、JALは今後の提携を含めて7社と提携
現状では13社のうち、ANAは2社、JALは今後の提携も含めて7社となっている。デルタ航空は、既にANAはユナイテッド航空、JALはアメリカン航空と共同事業(ジョイントベンチャー)を行なっていることから提携する可能性は低い。また、アリタリア-イタリア航空とKLMオランダ航空についても、ANAはルフトハンザグループ、JALはブリティッシュ・エアウェイズやフィンエアーなどと共同事業を行なっていることもあり、こちらも提携は現実的ではないだろう。
しかしながら、今回のアエロフロート・ロシア航空においても、既に「ワンワールド」に加盟している成田~ウラジオストク線を運航する「S7航空」との提携もあり、1つの国で複数の航空会社との提携となる。アメリカと中国に続く同一国での複数航空会社との提携となるが、今後も想定外の提携も増えそうである。スターアライアンスとの提携を主に今後もネットワーク展開を進めていくANA、ワンワールド+独自提携航空会社でネットワーク拡大を目指すJALという構図になるだろう。
関連URL:JAL、アエロフロート・ロシア航空
(鳥海高太朗)