ANA(全日本空輸)は、2017年2月15日に同社にとって最長距離の路線となる成田~メキシコシティ線を就航した。ANAがメキシコに就航するのは初めてとなり、日系航空会社においてはJAL(日本航空)が2010年1月18日に運休して以来、7年ぶりの就航となる。
ANA最長路線となる片道7003マイル
毎日1往復での運航でボーイング787-8で就航する。マイル積算の基準となる区間基本マイル数は片道7003マイルで、これまでANAの路線で最長だった成田~ワシントンDC線の6762マイルを越える路線となる。日本とメキシコシティとの時差はマイナス15時間となる。
■ANA、成田~メキシコシティ線運航スケジュール
NH180便 成田16:40発 メキシコシティ13:55着
NH179便 メキシコシティ1:00発 成田6:35着(翌日)
メキシコシティまで往路は12時間半、復路は14時間半
就航セレモニーの中でANAの篠辺修社長は「メキシコシティ線はANAとしては42番目の国際定期便の就航都市でメキシコへの渡航が大変便利になる。日本から往路は12時間半ほど、復路は14時間半ほどを予定している。私どもの路線の中では最長であるが、機内の快適性に優れているボーイング787を使って運航しているので、お客様には快適な空の旅をお楽しみいただけると考えている。このメキシコシティ線の開設により国際線は65路線・週571便を運航することになる。お客様に便利と快適を提供していきたいと思う」と話した。
また、駐日メキシコ大使館のカルロス・アルマーダ大使は「メキシコには1000社を超える日系企業が進出し、1万人以上の日本人がメキシコに居住している。メキシコには34を数える世界遺産、ビーチ、遺跡、コロニアルシティ、食事、テキーラ、もっと日本の方にメキシコに来て欲しいですし、メキシコ人にも日本に来て日本の美しさをもっと知って欲しいと思う」とメキシコ・日本の双方の魅力を伝えた。
メキシカンダンスでメキシコシティ線就航をお祝い
就航セレモニーでは、メキシカンハットダンスと呼ばれているメキシコの踊り「エル・ハラベ・タパティオ」が披露されたほか、成田空港で働くANAグループ社員で構成されている「ANA NARITA Sky Band」による演奏も会場を盛り上げた。
成田~メキシコシティ線ではボーイング787-8型機(ビジネスクラス46席、プレミアムエコノミー21席、エコノミークラス102席の合計169席)が投入されるが、長距離路線であることに加えて、標高が高く(約2000メートル)、そして気温が高いメキシコシティ空港での離陸に対応するためにより大きな離陸推力がでるエンジン「TRENT1000-L」を装備した機体で運航される。
関連URL:ANA
(鳥海高太朗)
- 編集長's eye BIRD SEAビュー
- 初便セレモニーの後にANA篠辺社長の囲み取材が行われた。その中で、メキシコシティ線は日本人のビジネス渡航に加えて、アメリカ路線・カナダ路線同様に成田経由でのアジアと北米を繋げる路線にしていきたいと話した。
現状の予約においては外国人より日本人の予約が多く、既に先行して就航しているアエロメヒコ(AM)はメキシコ人の需要、そしてANAは日本人の需要が多くなると予測し、当面は70%の搭乗率を目指すとしている。
今回の就航により、中南米へ向かう場合には、ヒューストンやシカゴ乗り換えでユナイテッド航空を使う選択肢に加えて、今回就航のメキシコシティに入る選択肢が増える。だが、スターアライアンス加盟のメキシコの航空会社がなく(アエロメヒコはスカイチーム加盟)、今後、提携先においては大きな会社というよりもメキシコシティを含めた中南米のネットワークを張っている航空会社との連携も模索していきたいと篠辺社長は話した。
個人旅行者においては、旅行者自身がメキシコシティから先、LCCや他のフルサービスキャリアの航空券を別に購入するケースも多く、この便を使ってメキシコシティからカンクンをはじめ、カリブ海、更にはキューバなどへ出かける人も今後更に増えそうである。私も近いうちに乗ってみたいと思っている。
編集長 鳥海高太朗