ANA(全日本空輸)は、機内の空気が約3分で全てが入れ替わる仕組みになっているが、空気を循環する際に使用される高性能フィルター「HEPAフィルター」を2020年5月26日に羽田空港で公開した。
HEPAフィルターは0.3ミクロン以上の粒子を99.97%を捕集することが可能となっており、病院の手術室の空調設備にも使用されている高性能なフィルターとなっている。今回公開されたのは、ボーイング777-300型機の床下にある貨物室最後方にあるHEPAフィルターで、両サイドにそれぞれ2個ずつのHEPAフィルターが装着されていた。HEPAフィルターの交換のサイクルについては、整備プログラムの中に組み込まれており、平均して2年に1回のペースになっている。ボーイング777−300型機では、天井裏と床下などに複数のHEPAフィルターが装着されているそうだ。
空気の流れとしてはエンジンから外の空気を取り込んだのち(ボーイング787を除く)、エアコン装置に送り込み、最終的に機内の天井から客室内に流れる仕組みになっている。客室内では滞留せずに空気は上から下へ流れ、床下から一部の空気は機外に放出し、残りの空気はHEPAフィルターを通すことで、空気を改めて清潔な状態となって、エアコンに送り込み、機外からの空気と共に再び客室に循環する。
IATA(国際航空運送協会)では、既に「航空機内では感染リスクが低い」と発表しており、IATAの非公式調査でも乗客から乗客への感染が疑われる事例はない調査結果を発表している。
また、飛沫による感染も乗客はマスクを装着して前を向いていることで顔を正面で向き合わせる可能性が低く、座席自体も防護壁になるなど機内感染が少ないとされる科学的見地が発表されており、交通機関の中でも安全とされている。
関連URL:ご搭乗に際してのお客様へのお願いと、新型コロナウイルス感染拡大を予防する取り組み(ANAホームページ内)
(鳥海高太朗)