ANA(全日本空輸)は、2017年2月14日にドローンを活用した整備点検作業の実用化に向けた実験を大阪・伊丹空港内ANAグループの格納庫(MRO Japan)で公開した。今回、整備点検の中でも雷が航空機に被雷してしまった際の損傷状況確認にドローンを活用するという想定でソニー株式会社と株式会社ZMPの合弁会社であるエアロセンス株式会社と共に実験が行われた。
現状では、雷が航空機に被雷した場合には、高所作業車を使って整備士が目視で損傷状況を確認しているが、高所での作業で危険を伴うことに加え、作業に一定の時間を要すことから遅延や欠航の判断にも時間がかかってしまうこともある。だがドローンを活用してクラウドにアップされた画像データの解析をすることで、高感度の写真情報から損傷状況を素早く確認でき、整備作業の有無を含めた判断が迅速になり、更に遠隔での作業になることから安全性が高まることなどが期待されている。
今回の実験では、ボーイング787の初号機を使用し、機体周辺をプログラミングされた情報を元に自律飛行で機体周りをドローンが飛んだ。高度は16~18メートルで秒速1メートルというゆっくりのスピードで飛行した。飛行時間は10~13分で画像データの収集を終えて所定の位置に着陸した。今回の実験は成功となった。
風速10メートル以上になるとドローンの安全性を考慮して飛ばさないことにしているが、安全性を含めた検証が今後も進められ、ドローンを整備点検作業の承認へ向けた使用した本格検証は庄内空港で行われる。早い段階での実用化が期待される。
(鳥海高太朗)
- 編集長's eye BIRD SEAビュー
- 私自身、雷が航空機に被雷して実際に遅延したことが富山空港から羽田空港への便で数年前にあった。損傷状況に応じて、飛行に影響がないレベルであれば安全を確認した後に運航し、損傷が激しければ大幅遅延もしくは欠航になることもある。
雷の避雷は避けることが出来ない自然現象であり、着陸後に次便が飛行できるかどうかの判断だけでも、それなりの時間を要することから、避雷した時点で30分以上の遅延は覚悟しなければならないが、整備作業にドローンを活用することで、その時間が短くなる可能性が高いとのことである。
整備点検作業にもドローンを活用すること自体、時代の進化を感じたのは私だけではないだろう。
編集長 鳥海高太朗