ANAホールディングスは、2019年10月29日に2020年3月期の第2四半期の決算を発表した。グループ連結の売上高は1兆559億円(前年同期比1.7%増加)、営業利益は788億円(前年同期比25.0%減)、経営利益は815億円(前年同期比20.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は567億円(前年同期比23.0%減)となった。第2四半期までの売上高としては過去最高となったが、当初予想よりは下回った。国内線は堅調に推移したが、国際線ではビジネス需要の減少で旅客数は前年比と同じだった。
国際線:ホノルル線は好調だが、ビジネス需要が伸び悩む
国際線では、旅客数は前年比同じ517万2000人、旅客収入は前年比2.3%増の3385億円、利用率は前年比0.6%減の76.8%となった。ビジネス需要が弱含んでいるが、ネットワークの拡大に伴い、ハワイ線、欧州線の旅客数が増加したことで収入は前年同期を上回った。7月~9月のトピックスとしては、7月から成田=ホノルル線でエアバスA380型機「FLYING HONU」での運航を週3便から週10便に拡大したほか、9月1日より成田~パース線を新規開設した。パース線は就航当初より順調な搭乗率で推移している。また、ホノルル便はA380導入後も搭乗率90%超え(特典航空券を含む)が続いている。10月は9割強、11月は9割弱の予約が入っており、航空券単価も落ちていない。
ただビジネス渡航は、7月以降、減少が色濃く出ており、欧米路線では企業業績を反映したダウングレードが出ている。単価・搭乗率が下がっている。また、中国路線でも影響が出ており、中国線では旅客数ベースで第1四半期では4%、第2四半期では9%程度の減少で、東南アジアでも対前年比は中国ほどではないが減少している。
国内線:供給量以上に旅客数も増加
国内線では、旅客数は前年比3.4%増の2310万人、旅客収入は前年比4.7%増の3687億円となった。利用率は前年比0.6%増の70.4%となった。旅客単価は1.2%増加し、繁忙期に大型機材に切り替えるなどしたこともあり、供給量を3%増やしたが、旅客数も3.4%増える結果となった。
LCC:ピーチは韓国路線が低迷したがバニラエアとの統合で増収
グループのLCCにおける輸送実績として、ピーチとバニラエアを合わせた旅客数は前年比1.8%減の399万5000人で、利用率は前年比0.3%減の86.9%となった。旅客収入は前年比4.6%減の461億円となった。バニラエアは10月26日で運航を終了したが、ピーチとの統合へ向けた機体改修や運航乗務員の訓練等により、一時的に運航便数が減少した結果、旅客数・収入ともに前年同期を下回った。ピーチは、日韓関係で韓国路線が低迷したが、バニラエアの路線を移管したことでピーチの売上高は増収となった。旅客収入の内訳はピーチ359億円、バニラエア103億円となった。
通期見通しを下方修正。配当は変更なし
2020年3月期の見通しについて、前年同期に比べて売上が179億円増加したが、貨物需要の減少や国際線ビジネス需要の一部が伸び悩んだことなどの要因で当初予定を下回り、下期についてもこの基調が継続すると見込まざるを得ないことやLCC事業においても他社との競合が激化していることも踏まえ、通期の売上高を当初予想より600億円程度減少し、2兆900億円になる見通しを発表した。
また営業利益は250億円減の1400億円、経営利益は230億円減の1370億円、親会社株主に帰属する当期純利益は140億円減の940億円に下方修正した。配当については当初予定と変更なく70円を予定している。
関連URL:
ANAホールディングス
2020年3月期 第2四半期決算について(プレスリリースより)
(鳥海高太朗)