ANA(全日本空輸)は、クラウドファンディング「WonderFLY」の始動から1周年を迎え、1周年イベントを2017年11月3日に東京・日本橋のスルガ銀行ANA支店で開催した。
新しいモノづくりやコトづくりに挑戦するチャレンジャーが集まる
WonderFLYは、ANAが昨年立ち上げ、新たなモノづくりやコトづくりに挑戦するチャレンジャーたちが集い、自らの技術やアイデアの可能性を試せる「クリエイティブアワード」と夢をカタチにして、広く世界へと飛び立っていくための共感やサポートを募ることのできるクラウドファンディングを合わせたプラットフォームとなっている。
今回は、第4弾クリエイティブアワードの最終選考に残ったアイデア、クラウドファンディング前のプロトタイプ製品の展示、クラウドファンディング中のプロトタイプ製品の展示、クラウドファンディングが終了して商品化された製品の展示が行われた。展示されている製品は手に触れて体験いただくことが可能で、実際に開発したチャレンジャーも同席して直接説明を受けられるスタイルの展示となった。
クラウドファンディングが終了し、まもなく商品化される商品も
既にクラウドファンディングが終了して商品化された製品としては、「SCOO(スクー)」という折りたたみが可能で飛行機や新幹線、電車、バス、タクシーに乗せられる電動車いす(モビリティスクーター)や「SHIZUKU」という飛行機の機内で「氷出し」という溶けた氷の冷水によって約3時間の抽出方法でお茶の甘みを最大限に引き出すものなどが展示された。上記2商品は第一弾の「旅の常識を覆すモノ」で選ばれた商品で、この時は500を超えるアイデアが集まり、実際にクラウドファンディングにかけて12件中4件が目標額に達したそうだ。
今後、クラウドファンディングで商品化された商品については、ANAグループの全日空商事が運営するインターネットショッピングサイト「A-STYLE」で販売する方向であることも発表された。
ANAのマイレージ会員を活用したい
ANAがプラットフォームを立ち上げたのかについて、ANAホールディングスのデジタルデザインラボチーフディレクター津田佳明さんは「多くは2つの理由があり、1つはチャレンジャーを応援した気持ちがある。ANAは元々2機の飛行機で16人の従業員で始めたベンチャー企業で色々な人に支えながら1日1200便以上を飛ばす会社になり、改めて感謝の意味でもチャレンジする人に応えて、自分たちも成長していきたい。もう1点はANAを使っていただいているANAマイレージクラブの会員は3000万人以上いる。日本のビジネスマンのお客様などアクティブベース(ANAマイレージクラブ会員を日頃使っている)でいうと1000万人くらいと言われているが、日本人は欧米に比べると個人投資が進んでおらず、金融商品だとハードルが高い。個人投資・個人購買の意欲喚起にみたいなところに、クラウドファンディングは金融商品よりも手軽に応援できるのではないかと思っている」と話した。
第4弾は「温泉の新しい楽しみ方」でこれから最終審査へ
第4弾の「温泉の新しい楽しみ方」をテーマにしたアイデアでは、269件の応募の中から以下のファイナリスト12件が選ばれた。
・簡単に「動物の形」にして、頭にのせるタオル
・温泉街の地域住民の力で作りあげる、高品質なフォトスタンプラリー
・タオル地と撥水加工の記事のリバーシブル構造のタオル
・伝統技術を用いた、保湿性の高い温泉用酒器
・ヒノキの香りの温泉専門フリーペーパー「入浴タイムズ」
・温泉で仕事!?Work × Bath ニューヨーカー
・温泉の効能、場所等が書かれた手ぬぐい
・カメラで撮影した思い出を、温泉で現像
・前後に並ぶ親が安心して子供の頭を洗うことができる椅子
・プロジェクションによる温泉水面への映像投影とインタラクション
・温泉の混雑状況を可視化する『ほっとする温泉地計画』
・温泉用カップ付き浴衣
これまで第一弾は「旅の常識を覆すモノ」、第二弾は「家で、外で、日本酒をもっと」、第三弾は「あなたの日常に防災をプラスする」をテーマにアイデアを募集した。
関連URL:ANA「WonderFLY」
(鳥海高太朗)