ピーチは、2017年9月24日に国内の第3拠点として仙台空港の拠点化をスタートさせた。2012年3月に関西空港を拠点に運航を開始し、2014年7月に那覇空港を関西空港に次いでの2番目の拠点化を実現し、仙台空港は3番目の拠点空港となった。
仙台からは関西・新千歳・台北の3路線
拠点化にあたり、従来から1日3往復で運航している仙台~関西線に加えて、9月24日から仙台~新千歳線を1日2往復、9月25日から仙台~台北(桃園)線を週4往復で新規就航を果たし、3路線での拠点化スタートとなった。拠点化というのは夜間駐機(ナイトステイ)が可能で、整備などの作業を行うことができる空港というのが原則となる。当面は運航スケジュールの都合で夜間駐機は行わないが、将来的に便数や路線が増えた際に夜間駐機を行う可能性が高い。
来年秋には搭乗口を増やす計画
拠点化初日の9月24日には仙台空港で仙台~新千歳線就航セレモニーが行われた。ピーチの井上慎一CEOは「これからも仙台を離発着する路線を拡大していく。これで終わりではなく、仙台そして東北の皆様に空飛ぶ電車ピーチをご利用いただいて、気軽に国内外にお出かけいただきたい」と挨拶した。また、仙台国際空港の岩井卓也社長は「ピーチの価格は飛行機を利用するお客様に幅を広げるだろうと思っている。仙台・東北の皆様にもどんどん飛行機を利用していただきたい。現在、ピア棟を着工しており、来年の秋には完成し、搭乗口の数も増えるので、どんどん増便していただいても大丈夫なように準備している」と話した。
国内LCCでピーチが唯一の乗り入れ。課題は運用時間
現在、LCC(格安航空会社)で仙台空港に乗り入れているのは、ピーチと台湾のタイガーエア台湾(仙台~台北線)の2社のみで、国内のLCCでは東北に唯一乗り入れている。LCC各社を取材していると東北は雪のリスクがあり、更に集客面も含めて躊躇している会社が多い。仙台空港は太平洋に近いこともあり、他の空港に比べると降雪は少なく、仙台からの距離が近い成田を拠点にしているLCCに比べるとピーチは就航しやすい状況にあるが、何よりもピーチの路線の中で仙台~関西線が全路線の中で最も搭乗率が高いという状況が拠点化の後押ししただろう。
そして仙台空港は空港ターミナルの運営会社が民営化されたことで、これまで以上に柔軟な対応が期待されている。現在の一番の問題は空港の運用時間の問題。現在は朝7時30分~夜21時30分までとなっているが、仙台空港では来年秋にも搭乗ゲートを増やす為にピア棟の建設を進めているが、LCCが拠点化する上では14時間という運用時間は短いだろう。朝7時~夜23時まで利用できるようになると利便性が向上していくことになると思う。数年前、ピーチの井上CEOも拠点化する空港については飛行機の運航ダイヤを組みやすい24時間空港が中心と話していたが、運用時間が伸びれば夜間駐機も含めて路線・便数を増やすことができるだろう。現在、宮城県で騒音のシミュレーションをしているとのことで、その結果を踏まえて議論される予定となっている。
ロンドン・ガトウィック空港は滑走路1本で3000万人の利用者
仙台国際空港の岩井卓也社長が囲み取材の中で面白いことを言っていた。「仙台空港は3000メートルの滑走路が1本しかない空港であるが、ロンドンのガトウィック空港は3000メートル1本で3000万人の旅客数がおり、滑走路のキャパシティだけ見れば(仙台空港は)1割しか使っておらず、バンバン飛ばしていきたい。受け入れ体制は万全である」と話したが、ジャンボ機も離発着可能な空港であることから、LCCはもちろんであるが、新千歳空港のように東南アジアや東アジアからフルサービスキャリアの大型機も含めて誘致することが空港の発展に繋がると思う。空港の整備とともに、東北の観光におけるポテンシャルを高めることも同時に必要だろうと思った。
ピーチは来年にも第4拠点として新千歳空港も拠点化する予定となっている。
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編集長 鳥海高太朗