日本から近い海外として人気の台湾。台湾からの訪日旅行客(インバウンド)が右肩上がりに上がっていることもあり、東京(羽田、成田)~台北(松山、桃園)間だけでも最大で13社が就航するという激戦路線であった。昨年(2015年)は年末でも往復2万円台で航空券が購入できるなど割安感があったが、今年(2016年)の年末は航空券の価格が上昇しており、LCC(格安航空会社)便でも満席便が発生している。
今年の夏は最大13社が東京~台北間を運航していた
■2016年9月時点の羽田、成田発着台北行き就航航空会社
ANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)、バニラエア、ジェットスター・ジャパン、ピーチ、チャイナエアライン、エバー航空、タイガーエア台湾、スクート、キャセイパシフィック航空、デルタ航空、トランスアジア航空、Vエア
トランスアジア航空、Vエアの運航停止で11社に
昨年と大きく異なるのが、11月に突如発表された台湾のトランスアジア航空の会社消滅による運航停止と先行して7月に運航停止となった同社の傘下であったLCCのVエアがなくなったことである。首都圏の空港関連では、トランスアジアは羽田、Vエアは羽田と茨城に乗り入れていた。
13社が乱立している状況で東京~台湾間は座席数が供給過多と言われていた。実際に国内LCCでも搭乗率は堅調に推移しているが、以前ほどの勢いはなく頭打ちの状況が続き、航空券単価も下落傾向になっていた。利用者にとっては便の選択肢も多く、繁忙期でも他の路線に比べると割安感があったが、この2社が消滅したことで11社体制となり、提供座席数が減少したことで、少し席が取りにくくなっている。今年の年末年始に限れば、長期間の休みが取りにくいカレンダーになっていることでアジアなど近場の海外が人気になっていることも背景にはある。
羽田~台北(松山)線はビジネス客を中心に堅調
ビジネス需要においては、日中時間帯に飛んでいる羽田~台北(松山)線の利用が多く、搭乗率も安定している。枠の関係もあり、ANA、JAL、チャイナエアライン、エバー航空が各2便ずつ運航している。羽田空港、松山空港共に中心部から近いこともありビジネス客や週末の限られた時間の中で旅をする旅行者に好評であるのに対し、成田発着便や羽田発着の深夜早朝時間帯のLCCは安さを求める観光客に支えられている。
特にLCCは、台湾から日本にやってくるインバウンド需要に支えられており、台湾からの観光客の増加傾向が続けば便数の増加が期待できるが、頭打ちになってしまうと減便や撤退という動きが出てくる可能性は否めない。トランスアジア航空とVエアの消滅によって、日本~台湾間の動向が2017年以降、地方路線を含めて再編されることだけは間違いなさそうである。
■2016年12月現在の羽田、成田発着台北行き運航航空会社
・羽田~台北(松山)※昼間時間帯
ANA、JAL、チャイナエアライン、エバー航空
・羽田~台北(桃園)※深夜早朝時間帯
ピーチ、タイガーエア台湾
・成田~台北(桃園)
ANA、JAL、バニラエア、ジェットスター・ジャパン、チャイナエアライン、エバー航空、タイガーエア台湾、スクート、キャセイパシフィック航空、デルタ航空