テレビや新聞などでも取り上げられている、阪急電鉄が伊丹空港への乗り入れを検討しているというニュースについて考えてみる。
伊丹空港は、大阪モノレールが今から20年前の1997年に大阪空港駅に乗り入れ、蛍池駅(阪急宝塚線)もしくは千里中央駅(北大阪急行・地下鉄御堂筋線)で乗り換えて梅田や難波方面へ向かうことができる。ただ、乗り換えの手間もあることから、渋滞がなければバスを利用する人の方が圧倒的に多い中での今回の阪急電鉄の伊丹空港乗り入れ検討のニュースが出た。
開通すれば梅田まで15~20分でアクセスできる
各社の報道を見ると、阪急宝塚線の曽根駅から約3キロの区間を地下で結ぶとしているが、仮に実現すれば伊丹空港と梅田(大阪駅)まで15分~20分程度で結ばれることになるだろう。鉄道の最大のメリットは時間が読めることであり、飛行機が出発する50分~1時間程度前に梅田駅を発車する列車に乗れば十分に間に合う計算となる。ということで実現すれば鉄道利用にシフトすることになるだろう。
リニア中央新幹線の開業もあるが
近畿圏では、伊丹空港・関西空港・神戸空港の3空港がある中、羽田線を中心に利便性の高い伊丹空港を支持する利用者は多い。最多便数を誇るのが羽田線になるが、将来的にリニア中央新幹線が開業すると飛行機が大幅に減便される可能性が高い。とはいえ、2027年に予定されている品川~名古屋間の開業時には、名古屋駅で東海道新幹線とリニア中央新幹線の乗り換えが必要になることもあり、飛行機からのシフトは限定的だと私は思っている。むしろ今から28年後の2045年に品川~新大阪まで全線開業した際には約1時間で結ぶことから、飛行機からシフトすることになる。
そうなると、少なくても今から約30年近くは伊丹空港の存在価値は大きいだろう。伊丹空港に阪急電鉄が乗り入れるメリットはある。もちろん、羽田線以外にも北海道・沖縄・東北・九州などへの国内路線網もあるので、利用者がいなくなる心配もない。リニア中央新幹線が全線開業した時点で、LCC(格安航空会社)の状況がどうなっているのかわからないが、伊丹空港にLCCが乗り入れて、成田~伊丹線もしくは羽田~伊丹線が就航してリニア中央新幹線より割安な運賃で就航しているかもしれない。
関西空港開港時から伊丹空港を廃止して、関西空港に1本化して伊丹空港を廃止する動きもあったが、現状を考えると伊丹空港は関西経済において必要不可欠であることは間違いない。そういった意味でも阪急電鉄の伊丹空港乗り入れに期待したいところだ。
編集長 鳥海高太朗