JAL(日本航空)は、2020年8月3日に2021年3月期第1四半期決算の決算を発表した。売上高は763億円(前年同期比78.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は937億円となった。
今年度の決算より「IFRS(国際財務報告基準)」を適用し、業績管理指標を「営業利益」から事業及び投資の成果である「EBIT(財務・法人所得税前利益)」に変更しているほか、有償旅客数や有償座席利用率に新たにマイレージの特典航空券を利用した場合も含まれるようになった。
国際線・国内線共に大幅減
国際線では、旅客数は前年比98.6%減の3万3875人、旅客収入は前年比97.9%減の27億円、利用率は前年比69.8%減の17.5%となった。また国内線では、旅客数は前年比86.7%減の123万1323人、旅客収入は前年比85.1%減の189億円となった。利用率は前年比49.0%減の28.3%となった。緊急事態宣言に加えて、国際線では入国制限による大幅減便の影響を受ける形になった。
貨物事業は前年比プラスに。4月~6月で3754の臨時貨物便を運航
貨物郵便事業においては、前年比16.9%増の265億円となった。貨物専用の臨時便として3754便を4月~6月までに運航した。物量は限定的だったが単価が高かったことで増収になった。貨物はZIPAIRでも成田~バンコク線を貨物便として運航した。
コスト削減も更に強化へ
コスト削減については、営業費用では運航費用の削減や人件費、広告宣伝費、IT経費などで前年対比で1250億円減少したほか、燃油費などの収入・供給連動費用(変動費)も対前年減収額2724億円の約40%にあたる1084億円を削減した。
今後、固定費で前回見通しよりも300億円追加抑制し年間900億円、変動費にあたる収入・供給連動費用においても減収額の40%の費用削減を目指すことを明らかにしたほか、投資抑制も前回見通しの500億円減から航空機投資(メーカー側との支払い時期交渉)を更に抑制することで300億円抑制し800億円の抑制を目指す。
財務については、今年2月以降に約3000億円の資金調達を実施しており、加えてコミットメントラインを1500億円増額して2000億円を確保している。今年6月末で手元現預金は3943億円を確保している。有利子負債は2020年3月末では2774億円だったが、2272億円増加し5046億円となった。自己資本比率は5.3ポイント減の45.9%となった。
中間配当は見送り。今後の旅客需要回復シナリオの想定は?
2021年3月期の連結業績予想については、今期の業績予想を公表できる状況にはないために未定としたほか、当期の中間配当の実施を見送ることにした。
今後の見通しでは、JALが想定する旅客需要回復シナリオに基づく旅客収入の状況想定では、国際線では前年度費10~20%程度、国内線では55%~65%程度で、国際線・国内線を合わせると35%~45%程度になると見ている。そして国際・国内旅客収入を含む連結売上収益の減収額の概ね5割程度の利益悪化になると想定しているが、新型コロナウイルスの状況によっても変わる可能性があることが付け加えられた。
雇用調整助成金を活用へ
また、これまで一時帰休に伴う雇用調整助成金の適用をしていなかったが、オンラインでの教育している時間について雇用調整助成金が適用できることになったことから、今月中に申請することを明らかにし、4月に遡って適用したいとし、客室乗務員、グランドスタッフだけでなくJALグループ全体での活用をしたいという意向を明らかにした。
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(鳥海高太朗)