2017年3月26日、バニラエアが関西~奄美大島線に新規就航した。奄美出身者が多く住む関西路線は里帰り需要が見込めることや、ユネスコ世界自然遺産に2018年夏に登録を目指す動きがあるなど、奄美への注目が高まる中での待望の就航となった。「ひこ旅」では奄美大島発関西行きの初便の搭乗レポートをお届けする。
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バニラエアの国内線7路線目となる関西=奄美大島線
3月26日に就航したバニラエアの関西~奄美大島線のスケジュールは以下の通り。
関西→奄美大島
JW873便 関西12:25発 奄美大島14:10着(3月26日~4月5日)
JW873便 関西12:15発 奄美大島14:00着(4月6日~6月30日)
奄美大島→関西
JW874便 奄美大島12:25発 関西13:50着(3月26日~4月5日)
JW874便 奄美大島14:40発 関西16:05着(4月6日~6月30日)
運賃:片道4780円~(シンプルバニラ)※支払手数料と旅客施設使用料が別途必要
バニラエアの国内線は2017年2月18日に成田=関西線、翌19日に成田=函館線、3月18日に関西=函館線(季節運航)が新たに就航し、今回の関西=奄美大島線を合わせて計7路線に拡大している。
バニラエア石井会長「奄美~成田線の成功事例を関西線でも活かしたい」
就航初日の2017年3月26日、正午すぎから奄美空港の搭乗ゲート前で初便の就航記念セレモニーが行われた。
バニラエアの石井知祥代表取締役会長は次のように述べ、奄美大島=関西線への期待を込めた。
石井会長「本日は記念すべきバニラエアの奄美大島=関西の初便にご登場いただきまして、ありがっさまりょうた(奄美の方言でありがとう)、ありがとうございます。バニラエアは奄大島~成田路線を飛ばして(この夏で)3年になりますけれども、大きくお客様を伸ばすことができました。この成田の成功事例を関西でも活かしたい思います。バニラエアは関西ではまだ知名度が低いので、ぜひ今日ご利用のお客様にこれからもっとご利用していただくと同時に、皆さまのご友人ですとか、ご親戚の皆さま方にお声掛けしていただきたいと思っております。」
奄美大島=関西線 JW874便初便搭乗レポート
搭乗ゲートでは初便の搭乗を記念した品物がバニラエアの石井会長みずから乗客に手渡された。
記念品は奄美ゆかりの動植物が描かれたトートバッグ、特産の黒糖を使った揚げドーナツの「アンダーギ」、バニラエアの初便でお馴染みとなった「初便搭乗証明書」の3点。
乗り込む乗客らを見送るため、奄美空港の屋上デッキには沢山の人が駆け付け、バニラエアの就航を祝う横断幕も掲げられていた。
奄美空港発関西行きのJW874便の乗客は144人(幼児3名)。地元奄美の方が家族連れで多く乗っているのが印象的であった。奄美と関西の結びつきの深さを示す光景といえるだろう。
JW874便は午後0時47分に奄美空港を離陸。
空港周辺の奄美北部には美しい海岸が広がり、天気が良ければ青い海も楽しむことができる。
機体は順調に上昇し、離陸から約7分後にシートベルトサインが消灯。その約10分後に機内販売がスタートした。
機内販売は2017年1月にデビューしたハーゲンダッツのバニラアイス(300円)が良く売れていた。
奄美発関西行きのフライトタイムは離陸後約1時間10分と短いので、温めるのに10分程度時間がかかるホットミールを注文する際は注意が必要である。
短いフライトタイムの中で、テキパキと仕事をこなすバニラエアのFA。この日も乗務員同士が笑顔でコミュニケーションをとっている姿が印象的だった。
そして午後1時52分、JW874便が関西空港に着陸。ほぼ定刻通りの順調なフライトだった。
関西空港の到着ゲートではバニラエアの職員らが笑顔で奄美からの乗客を出迎え、嬉しいサプライズとなった。
このほか到着口では喜界島など奄美周辺の離島から来た乗客を出迎える人の姿もあり、奄美周辺の離島からの乗り継ぎ需要もあることを示していた。
急激な変化に喜びと戸惑い・「奄美らしさ」を活かす今後の連携に注目
順調な船出となったバニラエアの関西~奄美大島線。奄美出身者が多く住む関西と奄美を割安な料金で結ぶLCCの就航はまさに待望の路線だったといえる。
奄美大島では2014年夏にバニラエアの成田線が就航し、首都圏からの観光客が増加した。レンタカー業者やホテルが増えるなど、この3年で島の光景は変わりつつある。
今回の関西線の就航について街の人に話を聞いてみると、観光業に携わる人、関西に親戚がいる人などは期待を寄せる声が大半であったが、さらに観光客が増えることによる「変化」に対して不安を抱く声もあった。
奄美の独自の豊かな自然と文化を守りながら、さらなる地域振興に繋げられるのか。バニラエアと自治体の今後の取り組みに注目していきたい。
(五十嵐 貴文)