JAL(日本航空)は、「2017年~2020年度 JALグループ中期経営計画ローリングプラン2019」を策定し、2019年2月25日に東京・天王洲のJAL本社で記者会見が行われた。既に2017年度からスタートしている中期経営計画から大きな変更はないが、昨年12月の飲酒事例などによる事業改善命令の反省をもとに「安全・安心の再構築」に向けた取組も新たに含まれた。
自社路線+提携航空会社の路線で引き続き500都市への乗り入れを目指す
路線関係においては、既に発表済みであるが、今年3月31日から成田~シアトル線の開設、成田~モスクワ線の増便、2020年度夏期ダイヤまでに成田~バンガロール線を開設する。
またハワイアン航空、中国東方航空との共同事業、3月31日に就航するブリティッシュ・エアウェイズの関西~ロンドン線、4月1日のフィンエアーの関西~ヘルシンキ線の増便、12月16日に開設する新千歳~ヘルシンキ線など共同事業を行うパートナー航空会社の路線拡充を通じて提携を拡大していく。また、アエロメヒコ航空やVISTARAとのコードシェア便、アラスカ航空とのコードシェア拡充を行うなど、共同事業パートナーとの海外地区販売活動の拡大を図ると共に、国際線については海外発売額比率50%を目指す。
当初発表の通り、提携航空会社のネットワークも含めて2020年度中に500都市への乗り入れを目指す。また成田を拠点とした中距離LCC事業の参入を2020年度上期より運航を開始する点も当初発表からの変更はない。
6月には欧米・オセアニア路線が全便ビジネスクラスフルフラット化
機材関係についても、既に発表されているがエアバスA350-900型機を2019年9月から、ボーイング787-8型機を10月から導入し、シートテレビや電源を装備するほか、ボーイング767型機や737型機にも個人電源を順次装備する。また、今年6月より欧米豪路線の全便でビジネスクラスをフルフラット化する。
空港関係ではスマート空港を実現するべく、国内線の5空港(羽田・新千歳・伊丹・福岡・那覇)、国際線の2空港(成田・羽田)において自動チェックイン機の刷新・増設、セルフバーゲージドロップの導入、顔認証の活用による「Fast Travel」を推進し、チェックイン時におけるカウンター待ち時間ゼロを目指す。
ハワイ線についてはハワイアン航空との提携も含めてA380に対抗
JALの赤坂祐二社長は、ANAが5月に就航させるエアバスA380型機のハワイ線によって提供座席数が増えることについて「ハワイアン航空との提携で日本とハワイの双方からA380に対抗していきたい。ハワイアン航空はオアフ島以外の島へのネットワークも強い。我々もコナへも飛ばしており、ホノルル・ワイキキだけでなく、ハワイ全域を面で考えている。JALを利用しているリピーターが多いので、リピーターの方に新しいハワイの魅力を提供していきたい。(ANAに対して)対抗という言葉を使ったが、お互いにお互いの特徴を活かしながらハワイ路線をもっと太くしていくことを考えている」と話した。
また、成田線に移管したことで現在は運航のない羽田~ホノルル線の自社便運航については「まだ何も決まってなく、今申し上げるのはあまり適切じゃないと思うので差し控える」と話したが、「希望としてはまた羽田から飛ばしたいというのはあるが、計画としてどうこうというのは現段階ではない」とコメントした。
JALの新LCCのブランドは3月上旬にも発表へ
新しくJALが設立する中長距離LCCのブランド名については、3月上旬に航空事業許可の申請(AOC)を行う予定で、申請の際に発表する予定であることを明らかにした。
関連URL:2017~2020年度 JALグループ中期経営計画ローリングプラン2019』を策定
(鳥海高太朗)