ANA(全日本空輸)は、2017年11月20日に東南アジア路線としては最安往復9万円代というビジネスクラス運賃を羽田・成田~クアラルンプール線で販売を開始したことを発表し、都内で会見が行われた。この運賃はロングステイ向けの運賃となっており、滞在日数などの条件がある。
燃油サーチャージや空港税込みで11月中の購入ならCクラスで10万円を下回る
条件としては、最低9日間~最長6ヶ月間の滞在期間が必要となり、ビジネスクラス利用で往復9万円、エコノミークラス利用で往復4万円に設定されている。11月20日時点では、空港施設使用料や燃油サーチャージが往復で7870円(羽田発着の場合)で、支払額ベースで見ると、ビジネスクラスで9万7870円、エコノミークラスで4万7870円となる(為替や燃油サーチャージなど購入時のタイミングによって多少前後する)。燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が12月1日発券分より、クアラルンプール線では片道1500円から片道3000円に改定されることから、11月中に購入した方が往復で3000円お得になる。
販売期間は2017年11月17日~12月31日まで、搭乗期間は来年(2018年)1月10日~9月30日までとなる。ANAのクアラルンプール線は、羽田~クアラルンプール、成田~クアラルンプールを各1往復運航しており、羽田発着・成田発着便を組み合わせることも可能になっている。羽田発着路線においては深夜早朝の発着枠を使って運航されている。
■羽田・成田~クアラルンプール線運航スケジュール
NH885便 羽田0時05分発 クアラルンプール6時45分着
NH815便 成田17時15分発 クアラルンプール23時55分着
NH816便 クアラルンプール8時00分発 成田15時40分着
NH886便 クアラルンプール14時15分発 羽田22時05分着
ビジネスクラスは70%のマイル積算
気になるのがマイレージの積算率となるが、ANAマイレージクラブに積算する場合、ビジネスクラスは予約クラスがPクラス(70%積算)で往復4672マイル積算、エコノミークラスは予約クラスがLクラス(30%積算)で往復2002マイル積算となる。また、日本各地からも往復1万円の追加料金で利用可能で(伊丹・神戸・関西・中部からは追加料金不要)、国内線区間もマイル積算の対象となる(国内線区間は100%積算)。
これだけ割安な運賃でありながらも、長期滞在者向けの運賃であることから、変更・キャンセルにも柔軟に対応しているのが特徴であり、予約変更・キャンセル共に1万円で可能になっている。また、日本出発前にキャンセルする場合も1万円のキャンセル料で払い戻しができるのも利用者にとっては使い勝手が良い。
また、この運賃はロングステイが多いシニアだけでなく、年齢に関係なく誰でも利用可能な運賃となっているのも特徴の1つ。現在の羽田・成田~クアラルンプール線はボーイング787-8型機が中心となっており、ビジネスクラスには「ANA BUSINESS CRADLE」仕様の機材が投入されている。完全フルフラットシートではないが、ビジネスクラスを片道5万円以下で搭乗できるのは画期的である。
エアアジアXの羽田~クアラルンプール線と発着時間が往復共に30分以内しか変わらない
成田~クアラルンプール線はJALとマレーシア航空、羽田~クアラルンプール線はLCCのエアアジアXが就航しているが、今回の運賃で最もライバルになるのは羽田~クアラルンプール線を運航するLCCのエアアジアXだろう。発着時間帯も近い(羽田23時45分発、クアラルンプール14時40分発)。往復共に30分以内しか時間は変わらず、エアアジアXにも全便にビジネスクラス(12席)が設定されている。ANAによると2017年度の羽田・成田~クアラルンプール線の平均搭乗率は8割程度であり、エアアジアXも搭乗率は高い。
運賃が近いのであれば、荷物もエコノミークラスは1個あたり23キロまで×2個、ビジネスクラスは1個あたり32キロまで×2個が預けられ、機内食や機内エンターテインメントも充実しているANAを選ぶ人が増えるだろう。ビジネスクラスでは、いつでも注文できるメニューとして、一風堂の味噌ラーメン「大地」やANAオリジナルカレーも食べることができる。また、羽田空港・成田空港・クアラルンプール空港でビジネスクラス利用時にはラウンジも使える。
90日まではビザ不要
ロングステイ財団の弓野克彦理事長よると、日本から海外へ出かける旅行者(2016年は1712万人)の中で推定158万人が海外で2週間以上滞在しており、その中でもマレーシアは11年連続でロングステイ希望国・地域ランキング1位となっているほか、マレーシア政府観光局のアズラン東京支局長はビザの取得しやすさを積極的にPRした。日本人が使える長期ビザとしては、10年間滞在可能なビザプログラム「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム」がある。また、90日間までの滞在であればビザは不要となっている。
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(鳥海高太朗)