2016年12月25日、バニラエアが成田~セブ線に新規就航した。リゾート・レジャー路線が主な就航地のバニラエアにとっては念願の海外ビーチリゾートへの直行便となる。
バニラエアのセブ線は日本人に使いやすいダイヤ
■バニラエア、成田~セブ線運航スケジュール
(~2017年2月18日)
JW603便 成田13:20発 セブ17:35着
JW602便 セブ10:55発 成田16:25着
(2017年2月19日~3月25日)
JW691便 成田14:45発 セブ19:00着
JW602便 セブ10:55発 成田16:25着
成田~セブ線には既にフルサービスキャリアのフィリピン航空が毎日1往復、LCC(格安航空会社)のセブパシフィック航空が週4往復運航しているが、セブパシフィックはセブを朝5時台に出発する早朝便なので、バニラエアの方が現地の滞在時間が長く日本人観光客にとってはメリットが大きい。
初便はほぼ満席 バニラエア待望のビーチリゾート路線
バニラエアの五島勝也(ごとう・かつや)代表取締役社長は、就航記念式典の挨拶で新路線にかける期待について「バニラエアはリゾート・レジャーデスティネーションに就航していくことを目指している。これまで国内線ではビーチリゾートとして沖縄や奄美大島に就航してきたが、海外はこのセブ線が初めて。世界屈指のビーチリゾート、セブにぜひ訪問してほしい」と述べた。
日本のLCC初のセブ直行便という事もあり、成田発セブ行きの初便JW603便は、乗客180名(うち幼児3名)とほぼ満席での出発となった。バニラエアによると年末年始の予約状況も好調との事で、幸先の良いスタートとなった。
五島社長「セブは非常に魅力的なデスティネーション」
バニラエアの五島社長は式典後に囲み取材に応じ、セブ線や今後の路線網などについて答えた。
Q:初のビーチリゾートでセブを選んだ理由は
五島社長:他にもミクロネシアもやってみたいと思っているが、色々と準備・順番があり今回セブが先になった。セブ線は他の本邦会社は飛んでおらず、語学留学などで若い人やシニアの方も行く非常に魅力的なデスティネーションである。
Q:セブ線でのバリューアライアンスの展開はどうなるのか
五島社長:綺麗な海とか色々なデスティネーションがあるので、(バリューアライアンスに加盟する)セブパシフィック航空とも(システムを)繋いで売れるようにしたいと思っている。いわゆる普通のコードシェアではなく、一緒に露出をし協力してやっていく。そういうことは色々2社間で話をしながらやっていく事になると思う。当然乗り継ぎのサービスをどう良くするかという問題もある。
Q:2月の函館線など新路線を開設するが次の展開は
五島社長:飛行機がまた入ってくるので、色々やります。(国内線・国際線)両方です。
Q:それは成田発着か
五島社長:そうです。あと関西も若干。
Q:羽田の深夜便はやらないのか
五島社長:他の会社を見ると苦戦している。もちろん我々もリサーチをしているし機会を見ていくが、今のところは成田ベースで国際線を広げていきたい。
五島社長は、あくまでも成田を中心に路線展開を進めていく考えを示した。今回のセブ線は会社設立時に掲げた「レジャー・リゾートのLCC」のまさに本命路線である。今後日本のマーケットでセブの魅力をどう広めていくのか期待したいところである。
関連URL:バニラエア
- 編集長's eye BIRD SEAビュー
- バニラエアが新たに選んだ就航先はフィリピンのセブ島。リゾートLCCを目指しているバニラエアに相応しい就航先と言えるだろう。2014年7月にLCCとしては初めて奄美大島に就航した。当初は夏の期間は満席が続いていたが、冬の閑散期になると利用者が減少してしまっていたが、今では冬でも80%以上の搭乗率を安定して記録するようになり、夏休み期間中は1日2往復でも満席便が相次いでいる。
LCCにとって重要なのは、しっかりとした存在感のある航空会社になることだと考える。ピーチは「ピーチに乗って旅がしたい」と思わせるブランディングが成功したことで知名度が高いのに対して、就航当初は知名度が低かったバニラエアは、奄美大島に就航したことをきっかけにリゾートLCCとしての認知が高まった。更にバニラエアの看板路線である成田~札幌線は年末年始期間は1日最大9往復を運航するなど、利便性が向上したことも搭乗率上昇に繋がり、知名度が高くなったと分析する。
バニラエアの成田~セブ路線は、インバウンド(訪日旅行客)ではなく、日本人のアウトバウンド需要を見込んでいる。日本人に便利な時間帯での発着となっているのもそのためであり、セブ線がバニラエアの第2の奄美大島線のようなバニラエアらしい路線に成長できるのかが楽しみである。