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クラウドSIMの時代 海外モバイルの新しい選択肢 jetfi

海外でのネット接続は携帯電話会社のローミングや現地プリペイドSIMを利用するのが一般的だが、今年(2016年)の夏に「クラウドSIM」をいう新技術を活用したレンタルルーターのサービス「jetfi」が始まった。周遊旅行をする人にメリットの大きい新たな選択肢を紹介する。

海外モバイルの第5の選択肢「クラウドSIM」jetfi

海外でモバイル通信を行う際、これまでは以下の4つの選択肢があった。

  • 携帯電話会社の海外ローミング
  • 海外用モバイルルーターレンタル
  • 海外用プリペイドSIM
  • 現地プリペイドSIM

この中に今年8月新たに加わったのが「クラウドSIM」という新技術を活用したレンタルルーターサービス。グローバルフューチャーコミュニケーションが個人向けに提供する「jetfi」(ジェットファイ)だ。

jetfiが貸し出すルーターの中にはSIMカードが入っていない。提携する世界各国の通信会社のSIMをすべてクラウド上に格納し、ルーターが接続した最も電波状況の良い会社のネットワークに接続する仕組みだ。

ユーザーは国を意識せずに渡航先でルーターの電源をONにし、スマホ・PCとWiFi接続するだけで現地通信キャリアのLTE回線(一部の国では3G接続)で快適にインターネット接続ができる。

現地でルーターの電源をONにするだけで現地の会社に繋がる

バンコクのドンムアン空港にて

バンコクのドンムアン空港でjetfiを起動

実際に「jetfi」のルーターをレンタルし、LCC(格安航空会社)タイ・エアアジアXに乗ってバンコクへ。ドンムアン空港到着後にルーターの電源を入れてみる。

バンコク市内のjetfiの通信速度

バンコク市内のjetfiの通信速度

すると、起動後約1分ほどで現地通信会社のLTE回線に繋がった。速度は下り上り共に約30Mbpsと日本と同じように快適にインターネットに接続できた。どこのキャリアに接続したかの表示はされない仕様になっている。

真価を発揮するのは周遊旅行時

台中空港でのjetfiの通信速度

台中空港でのjetfiの通信速度

ここまではこれまでの海外用レンタルルーターと同じであるが、「jetfi」は周遊旅行をした際に真価を発揮する。台湾に移動し、ルーターの電源をONにするとスムーズに現地通信会社の回線に接続した。速度も下り25Mbps、上り11Mbpsと比較的速い。

これまでの海外用レンタルルーターサービスでは一部の端末を除いて国ごとにルーターを借りる必要があった。一方のjetfiはルーター1台で済むのでかなり手軽である。

jetfiが高速で通信できる1日あたりの通信量の制限は500MBだが、国が切り替わると通信量もリセットされる。また0MBから利用する事ができるので、1日で2~3か国を周遊するアジアやヨーロッパ旅行時にはとても便利だ。

jetfiの料金プラン 配送料が割高

jetfiの料金は以下の2種類。アジア周辺国でのみ利用できる「アジア周遊プラン」と、全世界で利用できる「グローバル(世界周遊)プラン」がある。長期でレンタルするユーザーには30・60・90日の「長期パック」もある。

・アジア周遊プラン
980円/日
→2017年1月末申込まで680円/日

・グローバル(世界周遊)プラン
1,280円/日
→2017年1月末申込まで980円/日

※往復配送料1250円別途

2017年1月末までの申し込みで通常価格より300円割引され、他社レンタルルーターと同水準で借りることができるが、商品はすべて配送でのやりとりで配送料に全国一律1250円かかるのは割高だと感じる。jetfiは1か国の旅行ではなく2~3か国の周遊旅行時にメリットがあるだろう。

LCCの普及で海外での周遊旅行も身近になった今、jetfiのようなクラウドSIMの新技術を活用した海外モバイルの選択肢が増えたことは大いに歓迎したい。既存のレンタルルーターや現地プリペイドSIMも含め賢く利用したい。

■jetfi対応国(2016年12月19日現在)※印は現在通信回線が不安定な国

【アジア】中国、香港、マカオ、日本、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、カザフスタン、モンゴル、インド、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン、ネパール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタール、バーレーン、イスラエル、ヨルダン、イエメン

【ヨーロッパ】イギリス、アイルランド、フランス、ドイツ、スイス、オーストリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、スペイン、ポルトガル、イタリア、チェコ、ハンガリー、ギリシャ、トルコ、ロシア、ポーランド、クロアチア、アルバニア、ブルガリア、キプロス、エストニア、リトアニア、ラトビア、マルタ共和国、ルーマニア、セルビア、スロベニア、スロバキア、ウクライナ、リヒテンシュタイン、オーランド諸島、モナコ、バチカン、サンマリノ

【アフリカ】エジプト、ガーナ、ケニア、モロッコ、モーリシャス、ナイジェリア、チュニジア、タンザニア、南アフリカ共和国、ザンビア、アルジェリア、※アンゴラ、西サハラ

【アメリカ】アメリカ合衆国(ハワイ、グアム、サイパン含む)、カナダ、メキシコ、パナマ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、※プエルトリコ、※グアテマラ、※ニカラグア、※エルサルバドル共和国、※コスタリカ、※ボリビア、※エクアドル、ウルグアイ、※ドミニカ共和国

【オセアニア】オーストラリア、ニュージーランド、フィジー

関連URL:jetfi

編集長's eye BIRD SEAビュー
私自身も海外へ取材や旅行に出かける際に羽田空港や成田空港でWi-Fiルータのレンタルサービスを活用することがあるが、jetfiの魅力は複数の国に出かける際にSIM交換なしでそのまま同じサービスを利用できる点が最大のメリットだと思う。

これまでは複数の国を訪れる際には、1日2980円の携帯電話会社の海外ローミングを使うことも珍しくなかったが、jetfiを借りることで解消されることもある。

もちろんSIMフリー携帯に現地のSIMを入れる方法もあるが、どうしても慣れてないと時間を要してしまうし、ある程度の知識がないと難しく初心者向けではない。このようなクラウドSIMのサービスが浸透するまでにはそう時間がかからないと思う。
編集長 鳥海高太朗

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