この秋、日本の7つの地方空港に相次いで就航したLCC(格安航空会社)のエアソウル。韓国のアシアナ航空が設立したエアソウルは預け荷物や飲み物も無料で、従来のLCCとは違う「プレミアム」路線で差別化を図っている。実際に広島~仁川線のフライトに搭乗した。
韓国第6のLCC エアソウルが日本に就航
韓国第6のLCCとして誕生したエアソウル。親会社のアシアナ航空が運航していた一部路線を引き継ぎ、今年10月7日に開設した高松線に続き、日本の7つの地方空港に相次いで就航した。
■エアソウルの日本~韓国路線(2016年12月現在)
- ソウル(仁川)~高松(週5便)、静岡(週5便)、長崎(週4便)、広島(週5便)、米子(週3便)、富山(週3便)、山口宇部(週3便)
エアソウルの高松線はアシアナ時代の週3便から週5便に増便、静岡線は初のLCC定期便、長崎線は大韓航空及びジンエアー撤退後の久々の韓国路線復活、山口宇部は初の国際線定期便と、日韓の地方路線の構図を変える就航となった。
預け荷物は23キロまで無料
エアソウルはどの運賃クラスでも預け荷物が23キロまで無料となっている。競争が激しい韓国のLCCは預け荷物無料が標準となっているが、多くは15キロまで。エアソウルの23キロまでというのはフルサービスキャリアの基準に近い。
機内持ち込み手荷物も10キロまでとアジアのLCCの中では制限が緩い方である。
エアソウルはエアバス社のA321型機を使用。座席数は195席で足元がゆったりとした座席配置となっている。
旧アシアナ機の座席モニターを活用
エアソウルの座席は親会社のアシアナ航空時代の設備を活用しており、全席に搭載されたタッチパネル式の液晶モニターで映像コンテンツやフライトマップを楽しむことができる。ただ、イヤホンの貸し出しはないので音声を楽しむ場合は利用者自身でイヤホンを持参する必要がある。また、USBポートを搭載しているので、スマホやタブレットなど手持ちのデジタル機器を充電できるのは嬉しい仕様となっている。
水・ジュースを無料で提供
フライト中にはミネラルウォーターとジュースが無料で提供される。ここまでのサービスがあると、自分がLCCに乗っているという事を忘れてしまうほどだ。
唯一フルサービスキャリアとの違いを感じたのは機内食。エアソウルではカップラーメンやスナック菓子などを有料で販売し、サンドイッチなどの軽食は事前予約制となっている。
他のLCCに比べて機内販売の品数が限られている点は気になった。日韓間のフライト時間は短いので機内食は不要という見方もあるが、今後のメニュー拡充に期待したい。
「プレミアムなLCC」が利用客に受け入れられるか
預け荷物・機内ドリンクが無料、足元の広い座席に機内エンタメも搭載。限りなくフルサービスキャリアに近い「プレミアム」路線で差別化を図るエアソウル。
アシアナ時代より航空運賃は下がっているが、他路線を運航するライバル他社のLCCと比べると運賃は高止まりしている印象だ。
価格に敏感なLCCの利用客がエアソウルの手厚いサービスに付加価値を見いだせるか、今後の動向に注目したい。
■日韓路線に就航するLCC(2016年12月現在)
- ピーチ
大阪(関西)、東京(羽田)、沖縄~ソウル(仁川)
大阪(関西)~釜山 - ティーウェイ航空
ソウル(仁川)~東京(成田)、佐賀、札幌(新千歳)、大阪(関西)、大分、沖縄、福岡
大邱~東京(成田)、大阪(関西)、福岡 - チェジュ航空
ソウル(仁川)~東京(成田)、大阪(関西)、名古屋(中部)、福岡、沖縄、札幌(新千歳)
ソウル(金浦)~大阪(関西)
釜山~東京(成田)※12月15日新規就航、大阪(関西)、福岡、沖縄 - エアプサン
釜山~東京(成田)、大阪(関西)、福岡、札幌(新千歳)
大邱~福岡 - イースター航空
ソウル(仁川)~東京(成田)、大阪(関西)、沖縄、福岡、札幌(新千歳) - ジンエアー
ソウル(仁川)~東京(成田)、大阪(関西)、札幌(新千歳)、沖縄、北九州※12月13日新規就航
釜山~大阪(関西)、福岡、沖縄、北九州 - エアソウル
ソウル(仁川)~高松、静岡、長崎、広島、米子、富山、山口宇部
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